工事の概要
浴室防水は、配管位置と下地が整ってから始めます。床、壁の水がかかる範囲、入隅、排水口、配管の貫通部を一続きの防水層として納め、タイルで隠れる前の検査、試験、養生まで行う工事です。

この工事が必要な場合
浴室を全面撤去した場合や、排水口と配管貫通部の位置を変えた場合は、既存の防水層が途切れている可能性があります。まず新しい防水範囲を決めてください。表面の仕上げだけを変え、既存の防水層に触れない工事なら、全面防水をやり直すとは限りません。解体範囲、過去の漏水、既存システムを残せるかを先に確認します。
着工前に決めること
防水材の商品名だけでは判断できません。契約前に、次の4点をそろえて決めておきます。
- 床、壁、シャワーまわりのどこまで防水するか
- どの防水工法と製品群を組み合わせるか
- 排水口、入隅、敷居、配管貫通部をどの副資材と方法で補強するか
- タイルで隠す前にどの試験を行い、誰が合格を確認するか
見積書で確認すること
見積書は、次の質問で内容を確かめてください。
- 解体後の下地補修はどこまで含まれていますか。
- 防水範囲は図面や現場写真に示されていますか。
- プライマー、防水膜、補強テープ、副資材は適合する一つのシステムとして指定されていますか。
- 検査と試験、不合格時の補修と再試験、次工程までの養生は含まれていますか。
- タイル工事で防水層を傷つけた場合、誰が確認して補修しますか。
浴室図面、防水工事の見積書、解体後の下地写真があれば、防水範囲と湛水試験の条件を一緒に確認できます。
現場で確認する順序
浴室防水は、床に材料を塗るだけの作業ではありません。床と壁、排水口、入隅、配管貫通部が一続きの防水層になっていることが大切です。各層が乾いてから次へ進んでいるかを確認してください。
- 下地整理・プライマー完了

下地のほこりと弱いモルタルを取り除き、ひび割れや配管まわりの隙間を先に補修します。排水口のフランジと床、壁の入隅が見える状態で、プライマーが均一に浸透しているか、湿った下地をそのまま覆っていないかを確認します。 - 下塗り防水・ジョイント処理完了

最初のセメント系防水で下地を安定させ、入隅と貫通部にはジョイントテープや補強材を切れ目なく施工します。防水層が排水口の手前で止まらず、排水部材の内側までつながっていることを確認し、製品仕様に沿って十分に養生します。 - 塗膜防水2回塗布完了

1層目が乾いてから塗る方向を変えて2層目を施工し、全体の厚みを整えます。明るい照明の下で、ピンホール、気泡、下地が透ける薄い部分、入隅や排水口まわりの塗りだまりがないかを見ます。 - 湛水テスト合格・仕上げ完了

排水口を塞ぎ、決めた高さまで水を張って、水位と下階の天井を所定の時間確認します。排水後も浮きや傷がないかを見て、合格した防水層をタイル工事の歩行や穴あけから保護します。
不具合が起きやすい箇所

- 排水口との接続部 防水層が排水部材の内側まで隙間なくつながっているかを確認します。
- 床と壁の取り合い 折れ曲がる入隅で、補強材と防水層が途切れていないかを確認します。
- 床の防水面 ピンホール、気泡、浮き、ほかより明らかに薄い部分がないかを見ます。
- 敷居と出入口 水が隣室へ越えないよう、防水層の立ち上がり高さと端部の範囲を確認します。
専用テープや役物、接合部の納め方はメーカーのシステムによって異なります。見積書には「現場で補強」とだけ書かず、実際に使う部材と施工範囲を残してください。
湛水試験で漏水らしい跡が見えても、防水層の不良とすぐに決めつけないでください。配管、排水口の接続、試験用の仮封止も原因になり得ます。タイル工事を止め、防水と設備の担当者が一緒に原因を切り分けます。
工期と残す記録
「浴室防水は1日」と一つの数字だけで工程を決めるのは避けてください。実作業、各層の乾燥、最終養生、検査と試験を分けて工程表に入れます。下地補修の量、使用するシステム、温湿度、試験不合格後の再施工によって引き渡し日は変わります。
製品名とロット、防水範囲の全景、接合部の近接写真、検査と試験の記録、補修と再試験の記録、保証書を保管してください。タイルで防水層が隠れた後は確認の負担が大きくなるため、隠れる前の記録が重要な引き継ぎ資料になります。
浴室防水は給排水位置と下地の勾配を受け、タイルで隠れる前に検査する工事です。前後の工程も続けて見ると、漏水経路を残したまま仕上げるリスクを減らせます。